Blenderでの作業の前に三点照明について簡単に説明します。
三点照明とは、「キーライト」・「フィルライト」・「バックライト」の3つの照明を用いて被写体を照らす照明手法で、3DCGだけではなく、写真撮影でも用いられています。
キーライトは、最も光が強いライトです。
キーライトの位置としては、被写体の正面斜め上に配置することが好ましいとされています。これにより、被写体に影ができ、立体的に見えるようになります。
下の画像はキーライトのみでキャラクターを照らしたものです。
フィルライトは、キーライトによってできる影が強くなり過ぎないように調節するライトです。
フィルライトの位置としては、被写体の正面でキーライトと反対側に配置します。
下の画像はフィルライトのみでキャラクターを照らしたものです。
また、キーライトとフィルライトでキャラクターを照らすと下のようになります。キーライトだけでは影で潰れてしまっていた、口の下辺りが見えるようになっています。
バックライトは、被写体の輪郭を際立たせるためのライトです。
バックライトの位置としては、被写体の後方から、キーライトと正反対の位置に配置します。
下の画像はバックライトのみでキャラクターを照らしたものです。
また、3つ全てのライトでキャラクターを照らすと下のようになります。キャラクターの輪郭部に光があたり、キャラクターがより際立って見えます。
今回は、この三点証明の手法を用いてライトの配置を行います。
それでは、実際にBlenderでライトを配置しましょう。
まず、キーライトから配置します。
オブジェクトモードで「Shift + A」を押し、「ランプ」から「サン」を選択しましょう。
作成されたライトを「Gキー」で移動させ、キャラクターの正面左上あたりに配置しましょう。また、サンライトは指向性のあるライトなので、ライトから出る線をキャラクターのいる画面中央を向くように「Rキー」で回転させましょう。
サンライトの設定を行います
ライトオブジェクトを選択した状態で、プロパティウィンドウのランプメニューを選択します。
設定項目の中の「エネルギー」は、その光源の光の強さを表すものです。今回は0.9にしました。
また、「背景」と「大気」にもチェックを入れました、これにより、背景や空気を表現することが可能になります。
今回、背景と大気の項目で変更を加えた所は、「ブレンド」の項目を「ソフトライト」に変更しただけです。
背景の処理により、サンライトによって生成される背景色と、ワールドメニューの水平色とがブレンドされるのですが、そのブレンドの仕方をここで変更することができます。
また、プロパティウィンドウ下部の「影」の項目を「レイシャドウ」に変更しました。
これにより、サンライトによって影が生じるようになります。必要に応じて影の色の変更やサンプル数の変更を行いましょう。
サンプル数をあげることによって、ノイズの少ない高精度な影がレンダリングできるようになりますが、その分処理時間も長くなります。
ちなみに、サンライトの角度を水平に近づけることによって、夕焼けのような表現を行うこともできます。
続いて、フィルライトを配置します。「Shift + A」を押し、「ランプ」から「ポイント」を選択しましょう。
そして、キャラクターの正面右下あたりに配置しましょう。
今回は、エネルギーを0.6に設定しました。また、光の減衰の方式として「逆二乗式」を選択し、減衰距離を調節しました。
実際のレンダー画面での表示を見ながら、調節を行うと良いでしょう。
また、影は生じないようにしておきます。
最後に、バックライトを配置します。「Shift + A」を押し、「ランプ」から「スポット」を選択しましょう。
位置は、キャラクターの後方右側に配置します。また、スポットライトは指向性のあるライトなので光の向きを回転させて調節しましょう。
今回はエネルギーを1.5に設定しました。また、減衰の方式として「逆線形」を選択し、減衰距離を調節しました。 また、影は生じないように設定しました。
ちなみに、今回の3つのライトの位置関係はこのようになりました。
3つのライトを配置しましたが、このままでは全てのライトの光が床にも当たるため、床の光り方が不自然になってしまっています。
そこで、ライトリンクの設定を行い、キーライト(サンライト)のみが床を照らすように設定します。
まず、サンライトを選択し、プロパティウィンドウのオブジェクトメニューからグループを作成します。
グループのところにあるプラスボタンを押すことでグループを作成できます。作成したグループ名をわかりやすいものに変更しておきましょう。
続いて、床オブジェクトを選択し、プロパティウィンドウのマテリアルメニュー下部の証明グループから、先ほど作成したグループを選択します。
以上でライトリンクの設定が行われ、サンライトのみが床を照らすようになりました。